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2023.1.12
「ほくりくみらい基金キックオフ集会ー石川に新しいお金の流れとしくみをつくろうー」を開催しました
2022年11月26日(土)、金沢港クルーズターミナルにて「ほくりくみらい基金キックオフ集会ー石川に新しいお金の流れとしくみをつくろうー」を開催しました。
会場には30名を超える方々が集まってくださり、ほくりくみらい基金の船出を見守っていただきました!
集会当日の様子をご紹介します。
開会「未来支度をはじめましょう」
ほくりくみらい基金準備委員会 代表理事の永井より、開会にあたってこのキックオフの趣旨説明を行いました。
「今日は皆さんと”未来の支度をしませんか?”というテーマで一緒に考えていきたいと思います。社会や環境が大きく変化していく中で、これからみんなが安心して学んだり働いたり幸せを感じていくためには、どんな風な未来支度をしていけば良いのか、考えましょう」
また、ほくりくみらい基金の設立に向けて、金沢エコライフくらぶ代表の青海万里子さん、アステナホールディングス株式会社 代表取締役社長 岩城慶太郎さんより頂戴した応援メッセージをご紹介いたしました。
基調講演「みらいに向けた市民財団の意義と役割」
続く基調講演では、コミュニティ財団とは何か、地域にコミュニティ財団があるとどんなことが叶うのか、長野県みらい基金の事例を基にお話いただきました。
ご登壇いただいたのは、全国コミュニティ財団協会理事兼長野県みらい基金理事長の高橋潤さんです。
「コミュニティ財団は、地域の人たちが、地域のためにお金を出しあって設立する財団です。自分たちが暮らす地域で、何が困りごとなのか、誰がどういう困り方をしているのかを知り、その困っている人をどうしたら助けられるか、支えられるかを考え、解決のためにお金が必要ならば、資金を調達したり、地域の人たちと集めるのが役割です」
「そして、もう一つ大切なのは、地域で苦しんでいる人の小さな声を拾い上げることです。
まだ行政が気づいていない課題や、地域の課題としてまだ見えていないものを拾い上げ、解決する人たちを探す、育てていくことは、コミュニティ財団にしかできないことです。コミュニティ財団というのはコミュニティ成長の装置なんです」
2012年に設立された長野みらい基金。当初は400万弱の寄付金でスタートしましたが、現在は1億を超える事業規模にまで成長したそうです。こども支援、福祉、環境、まちづくりなどの幅広い分野に、地域の声を聞きながらお金を環流させてきたそうです。
また高齢の方が亡くなるとそのお子さんが都会に住んでいるケースが多く、地域の預金がどんどん都会に流出している状況があり、その中から一部を地域にもどしてもらう遺贈寄付のしくみについても紹介がありました。
ほくりくみらい基金でも、地域の課題を一番理解し、地域の団体と一緒になって課題解決やそのための資金集めをしていくこと、地域のお金を地域内で循環させ、住みよいまちづくりに活かしていくことを大切にしていきたいと、改めて思いました。
パネル討論1「税金とどう違う?若者への投資」
パネル討論1では、すでに石川県内で若者とともに活動をしている3つの団体からパネリストをお呼びし、活動内容の紹介や若者への投資の必要性を討議しました。
登壇いただいたのは、以下の方々です。
仁志出 憲聖さん(一社)第3職員室 https://dai3syokuinshitsue.wixsite.com/website
ユースが平等に無料で使うことができる、学校でも家でもない第3の居場所であるユースセンターの立ち上げに向けて活動中。「ユースセンター起業塾」採択団体のひとつ。
北澤 晋太郎さん(NPO法人)ガクソー https://npo.gaxo.club/
「ユースセンター起業塾」採択団体として、第3職員室と同様に、石川県珠洲市でのユースセンター立ち上げに向けて活動中。
小杉 真澄さん(公財)あくるめ https://akurume.com/
石川県加賀市を拠点に子ども・若者・地域支援を実施する財団。加賀市の若年女性を支援する基金「かがじょ基金」を担当。
(ファシリテーター:鈴木 祐司さん 全国コミュニティ財団協会 副会長)
仁志出さん、北澤さんのお二人からは、認定NPO法人カタリバとEticが募集する休眠預金活用事業「ユースセンター企業塾」の1期生として、ユースセンターの立ち上げに向けて準備する中で、助成金があったからでできたことを伺いました。
北澤さんからは、仲間集めがしやすくなったこと、居場所作りに必要な物品購入ができたこと、仁志出さんからは原資の目処が立ったことでユースセンター立ち上げのスピードが上がったことを挙げていただきました。
小杉さんからは、行政がまだ気づいていない、あるいは制度化するにはまだまだ時間のかかる「若年女性への支援」というテーマについて、地域から資金を集め、スピード感を持って支援に繋げていくことができるのは、コミュニティ財団ならではの活動であるとお伝えいただきました。
助成金は銀行からの融資などと違って、受益者(サービスや支援を受ける人)からお金をいただくことが難しい事業に使いやすいといった特徴もあります。
今回のユースセンターや若年女性への支援のように、受益者からお金をいただくことが難しいもの、金銭的な負担なく平等に利用できるようにするための活動などに、休眠預金やコミュニティ財団が作る基金などが有効であることがわかります。
パネル討論2「経済循環につながる?地域の未来への投資」
続くパネル討論2では、地域課題の解決が経済循環につながるようなお金の流れと仕組みについて討議します。
登壇いただいたのは、以下の方々です。
おばた みなこさん 石川シングルマザーの会 https://ks-mama.com/
ウェブデザイナーの傍ら、シングルマザーの当事者交流会や、講座・セミナー、体験格差解消のイベントや生活支援、情報発信を通して、石川県内のシングルマザーを支援する活動を実施。NPO法人シンママ応援団の設立準備中。
森山 奈美さん 七尾未来基金設立準備会 http://n-mirai.net/
まちづくりを行う株式会社御祓川の2代目社長。石川県七尾市で稼ぎ出されたお金を、次の活動にまわすしくみとして、コミュニティ財団の設立に向けて準備中。
丸谷 耕太 ほくりくみらい基金準備委員会
金沢大学融合学域准教授兼ほくりくみらい基金理事。今回は話題提供として、過去にメンターとして関わったNPO法人世田谷区の街の木ものづくりネットワークの事例を紹介。
(ファシリテーター:永井 三岐子 ほくりくみらい基金準備委員会 代表理事)
おばたさんからは、石川シングルマザーの会の事例をお話しいただきました。
シングルマザーの支援となると食料支援に利用できるお金はあるが、石川シングルマザーの会として実施したいスキルアップ支援(ITスキルを身につけ、在宅でできる仕事に就職できるようにする支援)をしたくとも、そういう助成はあまりない、といったこと。日本マイクロソフトの社会貢献事業部との協働で実施しているITスキルアッププログラムについてご紹介いただきました。
森山さんからは、七尾市での事例として、福祉事業所と企業が繋がったことで、七尾で初めてのA型就労事業所ができた際のお話をいただきました。地域の障害者を支援するために始まった事業から、地域の困りごとを地域の障害者が解決していく仕組みに変わってきている様子を伺い、様々な関係者が繋がり、情報共有をしながら、現状をスピード感を持って変えていく必要性を実感しました。
この他、ほくりくみらい基金準備委員j会理事の丸谷より、世田谷産の樹木から木工職人が製品を作り出し、木材資源もお金も循環させる「世田谷まちの木ものづくりネットワーク」の事例紹介がありました。
働きたい人と企業をつなぐためのスキルアップや就労支援、耕作放棄地の手入れ、地域の資源を生かしたブランド力の高い商品づくりなど、地域の課題解決に企業を巻き込んで行くことで関係者が多くなり、解決の選択肢もひろがっていく姿が見えてきました。
お集まりくださった皆さん、ありがとうございました!
アーカイブ動画をYoutubeで配信しています
このキックオフ集会の様子は、Youtubeにてアーカイブ動画として配信しております。
ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=dKom-GvugZo
ほくりくみらい基金は一般財団法人化を目指し、現在準備中です。
活動の様子はこちらのWEBサイトやSNSにて発信をしております。
引き続きの応援をどうぞよろしくお願いいたします。