レポート
Report
活動報告
2023.12.27
「ほくみの学校」受講生 公開インタビュー編【「ほくみと ほくほく ほうこくの会」レポート②】
12月6日、ほくりくみらい基金オフィスにて、「ほくみと ほくほく ほうこくの会」を開催しました。
この会は、2023年のほくりくみらい基金の取り組みとそれを受けて考えたこと、今後の計画をご報告し、この1年ほくりくみらい基金を応援くださった皆さんに、改めてお礼をお伝えしたく企画しました。
のべ33名の方々にお越しいただいた、当日の様子をレポートします!
2023年活動報告会編【「ほくみと ほくほく ほうこくの会」レポート①】
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続きまして、「ほくみの学校」受講生公開インタビュー編。
ひるの部は、nono1 みんなの食堂・榎木さん、一般社団法人応援サポートハウスおばちゃんち・中町さんに、よるの部は、にじのわ ママと子どもの育ちラボ・森田さんに、インタビュー形式でお話を聞きました。
まずは、ほくりくみらい基金・笠原から、「次のステップ」助成プログラムと「ほくみの学校」を企画した経緯と、「ほくみの学校」の様子についてお話しました。
◆「次のステップ」助成プログラムと「ほくみの学校」のこと
笠原「ほくりくみらい基金はじめての助成プログラムを企画するにあたって、どんなことに困っていて、どんな助成が必要なのか、市民活動団体の皆さんにヒアリングしました。
その結果、活動をはじめることはできたけれど、それを継続したり、発展させたりするにあたって、どう進んでいけばいいのか悩んだ/悩んでいるということがわかりました。では、それに応えられる助成ができないかということで、団体の基盤強化を応援する『次のステップ』助成プログラムを企画しました。
多くの助成プログラムは、申請してもらって審査してお渡しするという流れなのですが、『次のステップ』助成プログラムでは、申請の前に『ほくみの学校』という場を設けました。まずここで学んで、それをもとに“自分の団体にとって必要な基盤強化は何か”を考えてもらった上で申請してもらうと、より団体にとって有意義なのではないか、という思いからです」
笠原「説明会や個別相談には24団体の参加があって、『ほくみの学校』のエントリーは最大10団体を想定していたのですが、最終的に15団体の参加となりました。予想以上に反応があったことがうれしかったです!ジャンルもさまざまで、不登校の子ども支援、空き家活用、農業振興など本当に多様な団体が参加くださいました」
▽「次のステップ」助成プログラムの詳細はこちら
「次のステップ」助成プログラム募集ページ
▽「ほくみの学校」各回レポートはこちら
「ほくみの学校」第1回、開催しました!
「ほくみの学校」第2回、開催しました!
「ほくみの学校」第3回、開催しました!
「ほくみの学校」第4回、開催しました!
続いて、インタビューへ。
◆【ひるの部】nono1 みんなの食堂・榎木さん/一般社団法人応援サポートハウス おばちゃんち・中町さん
nono1 みんなの食堂
2022年4月から、石川県野々市市で活動。子ども食堂のビヨンド型=子どもも大人も参加できるみんなの食堂をめざす。公園の落ち葉清掃をして集めた落ち葉で焼き芋を焼きみんなで食べるイベントなど、たのしい経験と食事の提供を組み合わせた形を模索している。
一般社団法人 応援サポートハウス おばちゃんち
2021年10月から石川県宝達志水町を拠点に活動。2022年4月一般社団法人化。不登校や引きこもりの子どもたち、支援の狭間にいる子どもたちやその親に対して、居場所づくりや自立に向けた体験の提供などのサポートを行っている。
——ほくみの学校を知ったきっかけと、どんなことを期待して参加したのかを教えてください。
nono1 みんなの食堂・榎木さん(以下「榎木」)「あるイベントでほくりくみらい基金の永井さんにお会いして、『ほくみの学校』を知りました。その時に永井さんの熱意をすごく感じて、この人がやっている勉強会だったらきっと何か得るものがあるなと思って期待して参加しました」
一般社団法人応援サポートハウスおばちゃんち・中町さん(以下「中町」)「ほくりくみらい基金のキックオフ集会に一緒に活動している仲間が参加していたこともあり、ほくりくみらい基金の活動に興味を持っていました。それでSNSをフォローしていて『ほくみの学校』を見つけた感じだったと思います。自分たちも2年ぐらい活動をしてきているけど、何が何だかわからん状態で走ってきたから、1回整理したいなと思って参加しました」
——全4回で印象的だった回はありますか?
榎木「第4回は印象的でした。まさに私たちが悩んでることに対する具体的なヒントが多かったですね。講師の宝楽さんが、実際にある財団に助成金申請して、採択されたときのロジックモデルを資料として共有してくださったんですけど、後から家でじっくり読んで、これはすごい!今後も参考にしたい財産だなと思いました」
中町「私も第4回が自分たちの活動にあてはめていろいろ想像できたのでよかったです」
——ほくみの学校を終えて変わったことはありますか?
中町「『ほくみの学校』に参加する前は、私のことを手伝ってくれる人はいても同じ思いで活動してくれる人っていないなと思っていたのが、全4回を終えてみて、実は仲間とか人にすごく恵まれているんだなと思うようになりました」
——中町さんが仲間の皆さんにやりたいことを伝える時に、学んだことは役立ちましたか?
中町「とても役立ちました。これまでは、自分の頭の中には『これをやりたい!』があるけれど、それをなかなか言語化できなくて、行動で示すしかなかったんです。それが『ほくみの学校』で、自分の団体や課題について分析したり、考える機会をもらって、本当に頭痛くなりながらやっていましたけど(笑)言葉にできるようになりました。新しく加わってくれる仲間にもそれを伝えたりしています」
榎木「私も全くそう思いますね。自分のぼわっと考えていた信念とか理念、思いを、非常にロジカルにというか、わかりやすく人に説明できるようになりましたよね。この前、実はある企業財団の助成金の申請に挑戦してみたんですけど、すらすら書けました、ここ(『ほくみの学校』)のおかげで!」
——他の団体との交流や出会いはありましたか?
榎木「アグリプライドさんという農業法人の方が、“機械で収穫するときに傷がついてしまって、市場に出せないサツマイモがどっさりあるんですけど、いりませんか?”と話しかけてくれて、実際に譲ってもらうことになりました。そのサツマイモで今度焼き芋イベントやります!」
中町「私たちは、何か形になったということはなかったんですけど、いろんな団体さんにお会いできて、考え方とか活動を知れたことがよかったなと思います。活動している分野が近いと悩みも共有できてそれもいいけれど、今回は分野が違うからこそ、”孤独じゃない感じ”がしました。ここにも、あそこにも何かを変えようと頑張っている人がいる!と思えました。」
——もし「ほくみの学校」2期があったら、どんな人や団体にすすめたいですか?
中町「なぜか、うち(活動拠点)には“何かやりたい人”がよく来られるんです。若者支援とか高齢者支援とか、人を支援したいという人が多いんですよ。そういう人にぜひ勧めたいですね。私自身は、2年くらい何をしたらいいのかなって迷いながら活動していたけど、もし『ほくみの学校』を受けられていたら、迷わずにシューって活動していけるのかなと思います」
榎木「私も1年間さまざまなところでごわごわしてました。そうやって悩んでいたのが、ここ(ほくみの学校)でシュッと収束したような気がします」
——ありがとうございます。うれしいです!
今言ってくださったモヤモヤには2つ側面あるなと思っていて、というのも、今回の助成プログラムの応募要件に、活動期間が1年以上2年未満という要件を設けていたんです。
その意図は、1年実際に活動してみると、うまくいかないことが具体的に目の前にあるはず、そのようにうまくいかないことが見えている状態で『ほくみの学校』に参加してほしいというものでした。
お2人は、活動を実際にやってみて、そのモヤモヤを持っていたからこそ、今回学びが深まったということもあると思います。一方で、そのモヤモヤが苦しくて活動をやめてしまう人がいるから、それはなくしていきたいなと改めて思いますね。
◆【よるの部】にじのわ ママと子どもの育ちラボ・森田さん
にじのわ ママと子どもの育ちラボ
2021年10月から石川県金沢市を中心に活動。「子育てがはじまっても安心や輝きをあきらめない社会」をめざし、医療の専門知識をもつメンバーで、赤ちゃんとママの居場所・学び合いの場づくりなどを行う。
——ほくみの学校を知ったきっかけと、どんなことを期待して参加したのかを教えてください。
にじのわ ママと子どもの育ちラボ・森田さん(以下「森田」)「NPO法人シンママ応援団のおばたさん(ほくりくみらい基金設立発起人のお一人)に久しぶりにお会いしたときに紹介してもらいました。『おばたさんがいいって言うんだったらきっといいよ!行こう!』みたいな、すごい軽い気持ちで参加しました(笑)」
——全4回受けてみて内容はどうでしたか?
森田「4回全部参加してはじめて理解できる内容だったなと思いました!メインのスタッフが私の他に4名いるんですけど、私が全ての回参加して、他のスタッフは部分的に参加してくれたんですね。そうすると、部分的に参加したスタッフは”気持ち悪い”感じ、というか未消化感が残ってしまってました。私は全部参加したので、それぞれの回がどうつながっていくのか理解できたんですが」
——そうだったんですね。全4回がつながるように組み立てたので、ある意味、そのテーマは達成されたなと思います。その後、団体内で学びを共有されることはありましたか?
森田「まだ学びを言語化して明確に共有するまでには至れてないんですけど、メンバーそれぞれにやりたいことをもっていたのが、『ほくみの学校』を終えて、“これは私たちがやるべきことじゃないね”“これはやりたいね”とか収束の方向になってきた感じがあります」
——なるほど。その他に変化はありましたか?
森田「“私たち、けっこういいことやろうとしてるじゃん”と思えるようになったというのはあります(笑)今の活動で達成できていることが明確にわかって、やってきてよかったねとか、これからやろうとしていることは間違ってないねと思えました。
それから、もともと仲は良いんですけど、ただ仲良いだけではなくて、ひとつの目標に対してそれぞれがどう動いたらいいのか、チームとして自分がどんな立ち位置に立ったらいいんだろうということを考えるようになりました。
『ほくみの学校』でも、私がワークや宿題で悩んでいるのをスタッフが見て、『森田さんが悩んでる!私には何ができるだろう』という雰囲気になったのがすごくよかったです。
私もそこで無理せずに、1人でひねり出すんじゃなくて、“わからない”ということをちゃんと出せました。信頼できる環境がつくれているということを実感しました」
——ほくりくみらい基金とは今後どんな関係性でいたいですか?
森田「『ほくみの学校』を修了して、今回の助成プログラムに申請するときに、助成内容をどうするか、方向性がわからなくなってしまったんですよね。申請書が書けなくなってしまったんです。
それで、申請相談に申し込んで、ほくりくみらい基金の須田さんとお話させてもらったんですが、その時間が充実していました。
自分たちが考えていることを聞いてもらって、打ち返してもらうというラリーのような時間だったんですが、今までにない切り口をもらったりして、すごくおもしろかったんです。それができる関係性でいたいかな」
ほくりくみらい基金・須田「にじのわさんの中でもたくさん整理した上で、それでもやりたいことがまだたくさんあって、いろんな方向で申請できるなという状況でした。改めて、今回の助成プログラムの特徴や目的は、団体の基盤強化なんですよ、ということを共有させてもらいましたけど、何かアドバイスしたかというとそうではなくて、しゃべっているうちに森田さんが自分で気づいて方向性が決まっていった感じでしたね」
会場からの質問「助成金は最終的にどんな内容で申請したんですか?」
森田「親子や保育園を支援するときのアセスメントツールをつくるという内容で申請しました。例えば、ある1組の親子を支援しようとするときに、まずはその親子の状況とか課題を分析するんです。それをアセスメントと呼ぶんですが、スタッフそれぞれに専門性があるので、アセスメントの視点がさまざまあるんです。
これまではそれを私がまとめて助言するということをしていたんですけど、ツールをつくることで、スタッフが誰でも同程度のアセスメントや助言ができるようにしたいと思っています。個性をなくすということではなく、それぞれの得意なところを生かして補い合えるようなツールにできたらと思っています。
通常そういうツールを作ろうと思っても、作るための人件費というのはなかなか捻出しにくいんですが、今回の助成プログラムは、人件費や外部アドバイザー費も申請できたので、もし採択されたらがんばってつくりたいなと思っています!」
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インタビューを通して、ほくりくみらい基金が「ほくみの学校」に参加してくださった皆さんに伝えたかったことを、しっかり受け取ってくださったんだなと感じ、事務局は感無量でした。
いただいたご寄付は、こうして地域で活動する皆さんへ、確かに届いております。
そして、この「ほくみの学校」受講生の皆さんが、「次のステップ」助成プログラムの申請にチャレンジしてくれています。
採択団体は、来年1月に本WEBサイトにて発表予定です。そちらも引き続きご注目ください!
nono1 みんなの食堂・榎木さん、一般社団法人応援サポートハウス おばちゃんち・中町さん、にじのわ ママと子どもの育ちラボ・森田さん、ありがとうございました!