レポート
Report
ほくみ能登助成
2025.5.29
【前編】「つづける支援活動助成」オープンふりかえり会 レポート

能登半島地震からの復旧活動の継続を支援する目的で立ち上がった「つづける支援活動助成」。発災から約1年までを助成期間の目処としていた本助成は、2025年1月末をもって事業期間が終了いたしました。
今回は、4月26日(土)にオンラインで行われた「『つづける支援活動助成』オープンふりかえり会 」の様子を「前編/後編」に分けてレポートいたします。こちらの「前編」では「つづける支援活動助成」とはどんな性格のある助成だったかのか、序盤のふりかえりの様子をご紹介。

ボランティアの“過渡期”に立ち上がった「つづける支援活動助成」
まずは冒頭で、「令和6年能登半島地震 災害支援基金」を資金源とする助成の中でも「つづける支援活動助成」とはどんな性格のある助成だったかの振り返りをしました。
「支援活動の継続」と「“石川県に市民活動が根付くこと”を支える」ことが目的だったと話す須田理事。
「つづける支援活動助成の公募を開始したのは2024年5月。発災から4ヶ月以上が経って、これまでボランティアで活動していた人たちが『このまま活動を継続していくのか』という過渡期にあったと思います。
もし『活動を継続するのは厳しい』という判断を皆さんが下せば、支援が途切れてしまうことも予測されます。同時に、今回の地震をきっかけに立ち上がった方々の市民活動が“根付く”ようにと、この助成を企画しました」

全11団体へ、総額 約3,000万円を助成
計48団体からの申請があり、そのうち採択されたのは11団体、助成総額は3,049万円でした。採択団体は下記のとおりです。
実はレア!「出納記録の公開」タイム
11団体の紹介が終わったところで…「出納記録の公開」ターーイム!!
ネーミングこそ地味ですが(笑)、「助成金の内訳が実際どのように使われたか」がオープンになることって、実はなかなかレアなのです。(下記グラフは採択された全11団体の報告書より算出された平均値)

このグラフから、支出の43%(約1,200万円)が「人件費」にあてられていることがわかります。実は人件費が「助成対象費用」に含まれることは少ないのです。このこともつづける支援活動助成の大きな特徴といえます。

「ボランティアは無償の奉仕活動でなければ」という先入観
ここで、助成先団体の皆さんから感想をお聞きしました。まずは「NPO制服バンク石川」で代表を務める池下さん。「代表」ならではの人件費への葛藤が当初はあったとお話しくださいました。
「ボランティアって“無償の奉仕活動”というイメージが自分の中に染みついていて。スタッフにはもちろんお給料を貰ってもらいたいけれど、自分が言い出したことだし、代表である私は貰っちゃいけないと思っていたんです。けれど、ほくりくみらい基金さんは『ちゃんともらってください』と力強く背中を押してくださって。あのまま続けていたら私もボロボロになっていたと思うし、そもそも活動を続けられていなかったと思うので、本当にありがたかったですね」

被災者の“柔軟な雇用”を支える資金にも
また、つづける支援活動助成を利用して「新たなメンバー」を迎えることができたという団体さんも。まずは輪島から避難してきていたママ2人をパートとして雇用した「一般社団法人はぐネット」代表の高橋さん。はぐネットさんは「CURU∞CURU」として洋服交換事業を展開されています。
「彼女達は、元々毎週のようにお店に通ってくれていた子達だったんですね。親しくなって話すうちに『働きたいけれど、色々作業がある中で能登にも帰りたいし、なかなか融通の利く仕事がない』と言っていて。『だったらうちで働かない?』と誘ったのがきかっけです」
能登にもちょくちょく帰らねばならない状況の中、「固定の仕事」を決めかねる被災者の気持ちもフィットする、“柔軟な雇用”の一助にもなったようです。

そして「つづける支援活動助成の“柔軟さ”に助けられた」と話すのは珠洲市で「あみだ湯」を運営する「一般社団法人 仮かっこ」の新谷さん。
「地震で職を失い、行き場のない地元の漁師さんが当初は“手伝い”としてやってくれていたんですが、つづける支援活動助成のおかげで、彼らにも人件費を出すことができました。
また、あみだ湯は『事業承継』の最中に被災しました。まだ権利関係の移行が完了しておらず、僕らが『あみだ湯』としてスタッフを雇用するのが難しい中、つづける支援活動助成の柔軟さのおかげで『有償ボランティア』として皆さんに働いてもらうことができました。彼らの中には珠洲に移住してくれた人もいて、今にも繋がっているというか、本当に助かりましたね」

現場で奮闘する団体さんの「使い勝手」を最優先
そして、「人件費」はもちろん、日々変わる状況下の中で奮闘される団体さんにとっての「使い勝手の良さ」を大切にして、“細かい縛り”をあえて設けなかったということも、つづける支援活動助成の特徴の一つ。
「当初、輪島の拠点には何もない状態でした。ワークショップやサロンを開催するにも、テーブル一つすらなかったんです。そこで、テーブルや椅子も購入させていただいてイベントを開催し、皆で集まって楽しい時間を過ごすことができました。助成期間が終了した現在も輪島市の仮設住宅の集会場で使ってもらっています。
また、イベント後にみんなでランチを食べようと『食材費』にも助成金を使わせていただいて。最初は皆さん元気がなくて食が細かったんですけれど、少しずつ食べていただけるようになって。途中で一升炊きの炊飯器を買い足したくらい(笑)。状況に応じて自由に使わせていただけたので、本当に助かりました」とお話しくださったのは「石川県災害ボランティア協会」の木下さん。


「後編」はいよいよテーマトークタイム!「能登支援の現状と課題」や「今後あると助かる助成金」など、日々現場で奮闘する助成先団体さんだからこそ知りえる現状や、つづける支援助成への感想など、リアルな声をたっぷりとうかがいました。
(開催日:2025年4月26日)
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被災地で活動する市民活動団体に必要な資金と情報を届ける「能登とともに基金」には、毎月1,000円から、または都度3,000円から寄付ができます。
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